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photographer

石田 道行  Ishida Michiyuki 

 

1961年 兵庫県姫路市出身

高校一年の夏の二ヶ月、野宿しながら自転車で北海道を旅した。

自転車と野宿の旅ならではの自然とのダイレクト感に毎日が出逢いと感動の連続だった。それを写し留めようと写真に目覚めた。

北海道の旅は翌年以降もずっと続き、その後の学生生活の大半を旅とアルバイトで過ごすことになる。そして写真の仕事に就きたいと思い始めた。

 

二十代前半は大阪で写真専門学校に通いながら街中でのスナップ撮影と暗室作業に没頭し、卒業後はスタジオ勤務でコマーシャルフォトを経験する。時代はバブル景気に沸き、仕事は超多忙だったが広告の世界に興味が持てず、写真の仕事に就いてはみたが、撮りたかった写真からは遠ざかるばかりの悶々とした日々が続いた。自分は本当に写真が好きだったのか?それさえもわからなくなり、やがてバブル絶頂期の大きな波に呑み込まれていく。

 

十年以上のブランクを経た後に、あるきっかけから再び写真への想いが再燃する。`感動の先に生まれる写真`という原点に帰り1997年に松本市へ移住し写真活動を再開する。現在は安曇野市三郷の自宅に併設する工房でプリントからオリジナルのフレーム製作、展示まで含めたトータルな作品づくりと表現を模索しながら個展を中心に活動する。

 

 

 

森との出逢い

 

2000年5月に初めて訪れた残雪の森でのこと。

ある偶然の出逢いから、導かれるようにこの森へたどり着いた。

それまで穏やかだった森が一転、雷雨となり同時に陽が射し込んだ。地を這う霧と降り注ぐ光を透過したブナの若葉が鮮やかに光る幻想的な空間に「この世にこんな緑があったのか!」そのとき大げさでなくそう思った。雨は更に激しく降り続いたが、森の中は意外なほど静かで、樹々に包まれるような心地よさと不思議な安堵感の中で、ただ目の前の光景に立ち尽くしていた。

 

太陽と水そして生き物たちが織りなす森

人はその循環の中で生かされてきた

 

そのとき直感的にすべてを理解した。このときの体験は、それまで意識してこなかった多くのことに気づき、考えるきっかけとなり、心から伝えたいと思える被写体との出逢いは、その後の写真を方向づける大きな転機となった。

 

10代後半 北海道の旅にて

20代前半 大阪通天閣の前で

20代前半 大阪でのスナップ

2000年5月 ブナの森にて

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