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写真工房 道

 

 

高校時代に写真を始めてから現在まで、写真を取り巻く環境はめまぐるしく変わってきました。暗室作業での白黒プリントからカラー写真へ、そしてフィルムからデジタルへと、写真技術が進化を遂げてきた中で 「作品づくり」への意識が薄らいできたように感じています。

より便利になった機材でたくさん撮って、後で選ぶ。「撮る」から「選ぶ」へ。

また、雑誌への掲載やフォトコンなど、写真表現の最終的な形態が出版物であることもその要因の一つでしょう。そしてインターネットや端末機器の普及で、今や写真はモニターで見る時代となり、プリントすることすらなくなりつつあります。誰もが手軽にカラー写真を楽しめる時代の到来は歓迎すべきことですが、作品として自己完結することなく、単なる印刷原稿やデータを「作品」と呼ぶ現在の写真を残念にも思います。

 

表現にかかわる多くの行程を他人任せにして

写真家はいったい何をもって自分の作品というのでしょうか?

 

僕はこれまで作品展の開催を大切にしてきました。感動の先に作品が生まれ、何かを伝えようと表現する。そして作品展はオリジナルプリントを見ていただく唯一の機会であり、同じ空間を共有し語り合うのは何より楽しいことです。そのために、表現意図に沿ったプリントづくりはもちろんのこと、展示においては内容にマッチしたフレーム選択や、キャプション、照明や空間まで、作品に影響を与えるすべてに出来うる限り関わりたい。それが「作品づくり」に対する写真工房 道の基本姿勢です。様々な展示スペースに対応するために自らフレームづくりを始め、天然木の個性を生かした世界でただ一つのオリジナルの創作フレームに取り組んできました。写真がコピー可能な単なる印刷データではなく、世界でただ一つの作品として、絵画のように玄関やリビングに飾られるのが当たり前になることを願い、これまでの試行錯誤で得たノウハウが皆様の作品づくりのお役に立てれば幸いです。

 

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